電子航海暦における天体位置は地心視位置である。
<恒星の場合>
真位置に年周視差、年周光行差、重力場による光の曲がりを
補正した位置
<太陽系天体の場合>
真位置に光差、年周光行差、重力場による光の曲がりを
補正した位置
<1> 太陽系天体の視位置計算手順
(1) 天体(X)の視位置を求める日時を世界時で入力し、
これを太陽系力学時に変換して時刻Tを求める。
(T:ユリウス日)
世界時と力学時の変換方法
(2) 光差方程式を解き、天体(X)を光が発した時刻T’を求める。
この時、地球、天体(X)、及び太陽の位置は、JPL暦で求める。
(重力により光の経路を曲げる天体として太陽のみを考慮した。)
(3) 時刻Tにおける地球重心から時刻T’における天体(X)への
方向ベクトルを求める。
この時、太陽重力場による光の曲がりの補正を行う。
(4) 方向ベクトルをLorentz変換して光行差を補正する。
(5) 歳差と章動による座標回転を行い、国際天球座標系及び
Mean of J2000.0 赤道面座標系をTrue of Date 赤道面座標系に
変換する。
(6) 方向ベクトルを球面座標(赤経、赤緯)に変換して、
天体(X)の視赤経と視赤緯を得る。
<2> 常用恒星の視位置計算法
(1) 星表FK5の位置(赤経、赤緯)を方向ベクトルに変換する。
(2) 固有運動と年周視差の補正を行なう。
(3) 太陽系天体の場合と同様に、太陽重力場による光の曲がりを
補正する。
(4)〜(6)の手順については太陽系天体の場合と同じである。
又、常用恒星の場合は、地球力学時と太陽系力学時の差は無視
している。