平成21年5月22日の講演会・運営委員会の報告

幹事 住谷 泰人


  1. 2009年度春季講演会

    (1) 日時:平成21年5月22日(金) 13:30〜15:00
    (2) 場所:東京海洋大学 品川キャンパス
                  楽水会館鈴木善幸記念ホールA
    (3) 講演内容

      講演は以下のとおりである。

    1) 「実運用データの解析による
              ATM パフォーマンス評価例の紹介」
    ○蔭山 康太 (独立行政法人 電子航法研究所)

     安全で秩序ある航空交通の実現のために航空交通管理 (ATM : Air Traffic Management)は各種のサービスを 航空機運航に対して提供しているが、 航空需要の増大への対応などからATMは継続的に その性能(パフォーマンス)を向上する必要がある。

     効果的なパフォーマンス向上施策の立案には、 まず重点的な評価対象となる項目を選定し、 各評価項目のパフォーマンス値を算出することで 航空機運航の現状を把握することが不可欠である。

     航空管制情報処理システムなどに記録された 実運用データには航空機運航の実績値が記録されているため、 同データの解析により航空機運航の 現状を反映したパフォーマンス値の算出が可能となる。

     本講演では、ATMパフォーマンス評価の研究紹介として、 評価項目の選定や各項目のパフォーマンス値の算出手法の 検討例などが報告された。


    2) 「SSRモードSとそのデータリンクについて」
    ○伊野 正美 (株式会社 東芝)

     現在SSRモードSは主要各国で整備が進み、 航空交通管制機関に高精度・高信頼度の航空機監視情報を 提供している。
     また同時に1030MHz/1090MHzの周波数を共用するACAS等の システムにとっては電波環境の改善に寄与している。

     SSRモードSは二次レーダとしての監視機能を改善するのみならず、 データリンク機能もICAO(国際民間航空機関)の標準として 機能定義されている。
     欧州で義務化されたEHS(Enhanced Surveillance:拡張監視)は その代表であり、データリンク機能にてより多くの監視に係る機上情報を 自動的にダウンリンクするものである。

     本講演では、このようなSSRモードSの動作原理・データリンク および実装上での問題等について報告された。


    3) 「ヘリコプタに適した計器飛行方式(IFR)運航の研究」
    ○奥野 善則 (独立行政法人 宇宙航空研究開発機構)

     ヘリコプタの運航は殆どが有視界飛行方式で行われており、 就航率や安全性向上のため計器飛行方式(IFR)による 運航の拡大が望まれている。
     GPSを用いた衛星航法の実用化等により、 ヘリコプタに適したIFR運航が可能になりつつある。

     本講演では、ヘリコプタ運航の現状と課題、 ならびに宇宙航空研究開発機構(JAXA)で実施している、 衛星航法による低高度IFRルートや ポイント・イン・スペース計器進入方式の飛行評価、 およびメインロータ等の構造物による衛星電波の遮蔽・ マルチパスが測位精度に与える影響の飛行評価、 等の研究事例について報告された。


  2. 2009年度春季運営委員会

    (1) 日時:平成21年5月22日(金) 12:00〜13:05
    (2) 場所:東京海洋大学 品川キャンパス
              楽水会館鈴木善幸記念ホールA

    (3) 出席者:田嶋、久木田、近村、安部、
                石出、塩見、天井、住谷
    (4) 議題
    1) 平成20年度後期活動報告

    • 平成20年度会計報告は原案の通り承認された。

    • 前回、平成20年10月18日に神戸大学大学院海事科学研究科で 開催された秋季研究会講演会の参加者は18名。

    • ニュ−スレタ−について、平成20年10月に第58号を、 平成21年5月に第59号を発行したことが報告された。


    2) 平成21年度活動計画等

    • 今回の講演について、学会誌「NAVIGATION」への 投稿依頼を講演者に行うこととなった。

    • 平成21年度秋季研究会講演会は、 発表課題としてヒューマンファクタ関連の講演を検討することとした。

    • ニュースレターの作成は平成22年5月までに2回程度発行することとした。

    • 研究会のホームページに、 今回の研究会配布資料をPDF形式で追加掲載することとした。


    3) 編集委員会報告

    • 事務局より送付された編集委員会議事録に基づき、 天井編集委員より平成21年度第1回編集委員会について報告された。



「NAVIGATION」第170号 pp.55-56(平成21年6月)より


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