半導体ジャイロ
− 浮上・回転型マルチ出力マイクロ慣性センサー −
(株)トキメック研究開発センター
中村茂
<講演概要>
 慣性空間に対する角速度を計測する「ジャイロ」は1851年フーコー
(Foucault)による「振り子」を用いた地球自転の検証、翌1852年の
回転円板による地球自転の検証と
「ジャイロスコープ:回転(ジャイロ)・見る(スコープ)」の命名以来
急速な進歩を遂げた。
 一方、半導体製造技術の進歩とともに急速な拡がりを見せるMEMS技
術は、これらの「ジャイロ」の小型化、大量生産に大きく寄与し、特殊な
センサと認識されがちであった「ジャイロ」の一般化を加速している。
MEMS技術を用いた「マイクロジャイロ」は現在実用化されているほぼ
全てが「振動ジャイロ」に分類される形式であるが、本稿ではトキメック
で開発した高精度化可能な「浮上・回転型マルチ出力慣性センサ」につい
て概説する。(本センサはSi製のリング型回転体(直径1.5mm)を静電
力で浮上させ、非接触で高速回転(74,000rpm以上)させることにより2
つの軸回りの角速度を検出し、同時にロータを支持する力から3方向の加
速度をも検出可能な「マルチ出力慣性センサ」である。)