GPSコンパス
                              日本無線
                     高良裕二

 GPSコンパスとは2つのアンテナを船首方向に設置し、
その相対的な位置関係より方位を求める方位センサーである。

海上を航行する船舶が潮や風の影響を受ける時、進行方向と
船首方位が一致しないため、多くの船舶は船首方位を求める
ためにジャイロコンパスまたは磁気コンパスを搭載している。
現在、ジャイロコンパスは大型船には搭載義務があるが、
高価である、静定時間が長い等の欠点があり、搭載義務のない
小型船向きとは言えない。そのため、多くの小型船は磁気
コンパスを搭載している。しかし,磁気コンパスは指北精度
が劣るという欠点がある。
 以上の欠点を解決するために安価で精度の良い方位センサー
として、GPSコンパスを開発した。

 2002年7月のSOLAS改正にともないTHD(Transmitting Heading
Devices
)規定が設けられる。THDとは船首方位をレーダー等に
伝えるための方位センサーデバイスで、ジャイロコンパス、
磁気コンパス、GPSコンパスの3種類がある。この改正により
300〜500gtの国際航行船においても方位センサーの搭載義務が
発生する。

現在、明石淡路フェリーにおいて弊社のGPSコンパスを使用
している。レーダーの画面で、レーダー映像と地図が重なって
おり、方位精度が良好であることが確認できた。
また、橋の下を通過しGPS電波が遮断される時でも、内蔵の
補助センサーにより方位出力が継続しており有効であることが
確認できた。


  GPSコンパスは、ジャイロコンパス搭載義務のない小中型船
の方位センサーとして、またジャイロコンパスのバックアップ
センサーとして有効である。