<講演概要>

 海上埋め立て造成工事用の土砂を海上運搬する土運船の運航を管理,支援するシステムについて,説明します.
 輻輳する海域を多数の土運船が運航する場合,安全確保の為に,土運船の動静を運航管理センターでモニターし,適切な指示を出す必要があります.また,今では海上土木に必須となったリアルタイムキネマティック GPS測位に必要な補正情報を土運船に送ることも必要です.
 本システムは,230MHz帯の1波を使い, RTK-GPS補正データの送信,各土運船から運航管理室へのポジションレポート,運航管理室から各土運船への指示及び気象情報等の支援情報の送信を,時分割通信方式で実現したものです.
 1つの周波数を複数の利用者で共有する時分割通信方式では,基準となる時刻が必要です.従来は困難であった移動体間の時刻同期が, GPSのタイムトランスファー機能を利用するすることにより,1μ秒という高精度も容易に実現出来るようになりました.
  RTK-GPS補正情報を含む陸上側(ダウンリンク)の送信割り当て時間が毎秒650msec,残りの350msecが船側(アップリンク)に割り当てられています.
 1隻の送信時間は25msecで,収容可能な土運船の隻数は最大70隻です.船からのデータ更新周期は隻数に応じて1〜6秒自動的に変化します.土運船が14隻以下の場合は毎秒更新されます.
 本システムは,現在,直江津港 荒浜ふ頭地区公有水面埋め立て事業に使用されています.