2001年秋季研究会報告


航法システム研究会
   
<講演資料ダウンロードに関する注意>
  *講演資料1と2はZIP圧縮されていますので、ダウンロード後解凍して下さい
  *講演資料1は、42MB(画像ファイル137, とテキストファイル2)です


(1) 日時 平成13年10月26日(金) 10:00〜12:30 (来聴自由)
(2) 場所 尾道海技学院 第4会場
(3) 講演テーマおよび時間割

 10:00〜10:05 研究会会長挨拶

 10:05〜10:40 海事補佐人 鈴木邦祐           講演資料1
                         「新来島海峡論 −来島海峡における航行管制−」
 来島海峡の過去の海難データに基づいて、来島海峡の船舶航行について、
次の様な提言及び問題点の指摘等が行われた。
(1) 現在の航行方式の利点と欠点及び潮流とは無関係に右側通航とした場合の利点
     と欠点を比較し、来島海峡は右側通航とするのが合理的であるとの意見を述べた。
(2) 法律に記載されている航路標識の位置と実際の位置とがずれているために、海図
    に記載されている航路位置と法律上の航路の位置とが一致していないところがある。
(3) 操船者が機器の操作に習熟していないことが原因での海難が発生しており、船員の
     再教育も重要である。
(4) 内航船舶の場合、一人で操船している場合が多いので、船橋における機器類の配置
    の見直しや、座って操船出来るスタイルに改善することが望ましい。
(5) 来島海峡海上交通センターは、海上保安庁公示により、操船指示は行わないことにな
  っているが、実際には行われているのが現状である。乗揚げ等の危険が迫っている場合
    には、操船指示を出すことも必要である。

 10:40〜11:15 海上技術安全研究所 福戸淳司      講演資料2
             「AISの実海域実験報告」       (講演資料は近日中に公開予定)
 本報告では、AISに関して、その概要を示すと共に、2001年6月に実施したAISの実海域実験
の結果及び交通流シミュレーションで検討を行った東京湾でのAISの通信容量の検討結果を紹介
した。
 AISは、2002年7月から順次搭載義務化される航海機器で、その基本性能を把握するため、
東京商船大学の汐路丸及びおおたかを用いて実海域実験を行い、送受信性能や実際の通信
内容及び従来用いられてきたARPA情報との比較を行った。本実験で使用したAISは試作品で
あったため、通信状況によって所定の通信が出来なかった面もあったが、データの授受が出来た
ことを確認できた他、ARPAよりも上質の情報をより早く得られることが確認できた。
 また、AISの通信容量の検討では、東京湾の交通状況を再現できる交通流シミュレーションにお
いて、各船にAISの送受信機能を組み込み、AISの通信状況を再現して、AISの通信容量について
の検討を行った。この結果、東京湾では、AISの通信容量のほぼ70%が使われることが分かった。

 11:15〜11:50 沖電気 岡本和男                         講演資料3
             「高速船対応のVTSシステムについて」
 従来技術のレーダによる船舶の監視方式およびその効果から今後のレーダによる高速船の
監視方式について検討した結果を述べた。
  レーダによる目標の探知に関しては、送信パルスの繰り返し周期、アンテナのビーム幅および
アンテナの回転速度などのレーダの基本性能に関わるパラメータの検討が必須である。現状の
VTS用レーダシステムは慎重な検討を経て決められたパラメータにより製作されたものであり、
高速船対応のVTSとするための設計変更すべき点は位置情報の更新周期を短くすることにある。
したがって、現状のアンテナ回転はそのままで、位置情報量を増大させ、処理周期を短くして追尾
処理する対策が有効である結論に達した。
  具体的には現状のアンテナ回転はそのままで、2つの同等アンテナを両面に張り合わせた新しい
アンテナを製作し、従来は6秒周期で更新されたレーダ映像を3秒周期に縮める方式とした。この
方式では2系統のレーダ信号を合成する処理方式の開発が必要であるが、従来レーダと同様に
追尾処理することができるので実用的である。
  なお、周囲の大型の船舶などによるレーダ電波の遮蔽や減衰などの現象は将来の課題である。
今後はこの新方式レーダシステムの具体的な構築を期待するものである。

 11:50〜12:30 全体討論