「モーダルシフトと数理計画モデル」 三木楯彦(神戸商船大学)
「モーダルシフトと環境問題に対する一考察」 久保雅義・斎藤勝彦(神戸商船大学)
「純流動からみた物流動向とモーダルシフト」 松尾俊彦(広島商船高等専門学校)
モーダルシフトが叫ばれている状況の説明と問題点などをまず整理され報告された。次いで、線形計画法の一類系である輸送問題に整数変数を付加し、あるリンクを使用する時に限って発生する固定費を考慮し得る数値計画モデルを提案された。モーダルシフトを促進するには、ある程度の固定費が必要になるが、このような問題に対してモデルが有用であることを事例研究を通して報告された。
モーダルシフトが検討されている大きな理由の1つとして環境問題がある。この問題を扱う際に各所でよく利用されるトラックのトンキロ当たりのNOx排出量は過大ではないかという疑問に対して、各種の文献を検討され、トラックのNOx排出量は内航船の3倍程度ではないかと報告された。
また、船舶の排出量についても、一般に報告されているものよりも多いのではないかという疑問が投げかけられ、特に船舶が輻輳する大阪湾でのNOx排出量はかなり多いのではないかと報告された。
全国貨物純流動調査を中心に近年の物流の変化を整理し、貨物輸送のトラック化について報告された。また、貨物流動量の多いODについて各経路および輸送機関の分担率を示し、モーダルシフト先としてフェリー輸送をさらに検討すべきであると報告された。最後に、国の補助金を利用してフェリー輸送に対するインセンティブを働かせるような国の政策が必要であると結ばれた。