1.特別講演
「スワップボディ導入について」
塩岡 智(日本通運株式会社 業務企画部)
スワップボディ導入について、モーダルシフトの観点から試作実験、実証実験にいたる経緯並びに運用について以下の項目に従って、詳細な図表およびビデオを用いて、懇切丁寧な説明がなされた。
1. 日本通運の概要
2. モーダルシフトの利点
エネルギーの節約、環境保全、労働力不足の解消、道路混雑の解消、交通事故の防止、安定的輸送手段の確保
3. 日通のモーダルシフトへの取り組み経緯
4. スワップボディ第1次試作と輸送実験
東京−大阪間における荷台の振動衝撃波形の例(鉄道輸送時、陸上輸送時)、鉄道貨車積載パターン、鉄道用輸送機器比較(30フィートコンテナ、ピギーパック、スライドバン・システム、オンレール・トレーラ、スワップボディ)、スワップボディ輸送システム運用図
5. 第2次試作(スワップボディ導入実証実験事業)〜ビデオ〜
6. スワップボディ輸送システムの特徴
7. ヨーロッパのスワップボディ
欧州の物流体制、スワップボディの普及状況、普及の背景(規格化、商習慣、法規制、各種優遇措置、誘導施策)、イギリスにおけるスワップボディ
8. 今後の課題
2.一般講演
(1)「地方港湾整備の方向と物流」
松尾 俊彦(富山商船高専)
地方港湾整備の方向性について、多変量解析の手法を用いた港湾特性の分析をもとに以下の内容について発表があった。
コンテナリゼーションの深化による破滅的なコスト競争により経営の赤字体質から世界海運会の再編が行われており、基幹航路とフィーダ航路に大別され港湾もハブポートとフィーダポートに性格が分かれてきており、高規格港湾の必要性からばらまき型の公共投資が行われてきたが、現実には無駄な投資に終わったケースが多く、現在港湾整備計画の見直しが行われている。そこで、物流面から見た地方港湾の問題点(地方で生産・消費される貨物の集荷、韓国・中国向け貨物を日本海側港湾へのシフト策)と環境面から見た地方港湾整備の問題点(廃棄物処理場の減少と港湾への埋立)の面から港湾整備の方向性と物流の関連について、詳しい説明がなされた。今後の港湾整備の方向性として、中枢・中核国際海上コンテナターミナルの整備、フロンティアランド(廃棄物海面処分場)の整備、市民生活と切り離された地方港湾がコンテナ港湾として生き残るよりも、市民・都市と一体化する方策を検討する必要性について発表があった。
(2)「配船計画ならびに港湾運用計画に関する研究の分類」
今井 昭夫(神戸商船大学)
現在の研究会統一テーマとなっている「物流研究のレビュー」の分担報告で、以下の内容について、説明があり今後のレビューの方向性を示していただいた。
0. 全体
・ 過去20年の審査付き論文
・ 以下に示す、世界の主要論文集を中心に調査した。
輸送関連論文集
Transportation Research Part A&B
Transportation Science
Journal of Advanced Transportation
Maritime Policy and Management
土木学会論文集
土木計画学・論文集
日本航海学会論文集
計画管理関連論文集
1. 配船計画
1.1 対象範囲
・ 次の研究は対象外とした:a)ウェザールーチング等のミクロな運航スケジューリング、b)マクロなモデル(例えば複数の異種輸送機間との基幹分担モデル)、c)一般的なルーチング問題
・ 端的には、複数の船舶を対象としたフリート管理的な視点のモデルを対象とする。
1.2 分類種別
(1) 市場:不定期船(主にバルクカーゴ)、定期船(主にコンテナ)
(2) 貨物需要:サービス内容に対して固定、サービス内容に従属(競合的)、全需要満足、需要部分不満足
(3) 目的関数:利益最化、コスト最小化、荷主へのサービス水準
1.3 分類
18篇の論文が紹介
2. バース(海港)運用計画
2.1 対象範囲
・ バース割り当て
・ クレーン割り当て
・ 荷役(主にコンテナ)スケジューリング
2.2 バース割り当て
10篇の論文が紹介
2.3 クレーン割り当て
2篇の論文が紹介
2.4 荷役スケジュール
13篇の論文が紹介