第12回 平成10年11月5日(木) 東京商船大学 25名程度


特別講演

 「海運市況の回顧と展望」
 −アジア経済回復への期待と市況好転への模索−
                高瀬 経裕(日本郵船調査グループ第2調査チーム)  主として、不定期船(バルクキャリアとタンカー)についての海運市況の回顧と展望について講演された。まず、バルクキャリアの需給ギャップ予測について説明があり、需給ギャップ率の値がその時の市況の状況を表すとの報告があった。需給ギャップについては次式で表される。

需給ギャップ=船腹供給量(新造船竣工−解撤)−船腹需要量(海上荷動量、必要船腹量)

主なバルクキャリアの荷動量については
・鉄鉱石:98年はアジア地域での大幅な鉄鋼需要の減退により、欧米での増加はあるもの の、全体では減少。
・石炭:海上荷動量の内、原料炭が40%を占め、鉄鋼需要の影響で97年よりも減少。一 般炭は、98年は多少伸び率下がるも、99年以降荷動量はもどる。
・穀物:横這い。

バルクキャリア供給のまとめとして、
・市況低迷のもと、大量の解撤が進んでおり、今後もこの傾向は続く。
・新造船竣工量は、過去2年に比し、多少その水準は落ちる。
・しかし現在の低船価による発注が一定量を保ち、需給回復の足を引っ張る。

 つぎに、タンカーについて、報告があった。 海上荷動量については、98年は若干減少するが需要は底堅い、99〜2001年は徐々に回復する。98年の市況については、原油価格に左右される市場である。そのような中、70年代に建造されたVLCCのリプレースの時期となっているため、タンカーの供給については、新造船は98年は少ないが、99年〜2001年にかけて急増し、市況好調のもと、解撤は低調である。

全体的なまとめとして、今後の大量竣工による供給圧力により、需給が緩み市況が低下して、はじめて解撤が本格的に始まるという報告があった。

一般講演
(1)「インターネットを利用した物流に関するアンケート調査の基礎研究」
               永岩 健一郎(広島商船高等専門学校)

 インターネットを利用して、低価格なパソコンを使用し、以下に示すフリーのソフトウエアを使用して研究室レベルでアンケート調査を行うためのシステムについて報告があった。
・FreeBSDの関連サイト
http://www.jp.freebsd.org/www.freebsd.org/ja/where.html
・Linuxの関連サイト
http://www.linux.org/
http://epsenewsc.gee.kyoto-u.ac.jp/JF/JF.html
・OmniHTTPd Professional
http://www.omnicron.ab.ca/httpd/
・AN HTTPD
http://www.st.rim.or.jp/~nakata/
・サイボウズ Web サーバー
http://cybozu.co.jp/server/web/
・Perl for Win32
http://www.bekkoame.or.jp/~syunji/perl/win/jperl.html

(2)「海上輸送ネットワークの設計に関する研究」
                嶋 邦彦、李 家慧(東京商船大学大学院)
                黒川 久幸、鶴田三郎(東京商船大学)

 港湾の規模の推定、輸送形態と商船隊の規模設計を目的とする報告があった。研究手順が示され、従来の方法と本研究の手法の比較、対象港湾と区域、貨物量データの推定方法、対象貨物の品類・品目、経済社会指標(GNP,経済成長率、輸出金額、輸入金額、人口、石油消費量、自動車保有台数の1984年〜1995年のデータ)等のデータを整理し、最適な輸送形態(運航ルートのパターン)を混合整数計画問題として定式化し、具体的な例題について解法とその結果についての報告があった。


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